無学のバカ一人 -25ページ目
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なんとなくでも

「明日死んだらどうする?」

誰かに何かを残すこと、目標を持つこと、それが「生きている」の定義だと僕は考える。つまり、生きるためにブログを始めてみることにした。ひとつでも多く自分の意見を書く。何か残るから。こんな感じで今、目標を持てた。つまり、なんとか生きている。

午前3時の惨事

突然のサイレンで眼を覚ますと、暗い部屋に赤い光が点滅していた。一瞬、火事かと思ったが、すぐに、窓から差し込んでくる灯りは、パトカーのものだと気付いた。外から微かに聞こえてくる会話の中に「免許証」という単語が含まれていたからだ。どうやら、衝突事故があったらしい。

そのとき僕がまず最初に考えたことは、被害者の安否ではなかった。最近、推理小説に夢中になっていたせいかも知れない。この後どうなるのかを楽しみにしていた。壁の向こうの出来事が、何か大きな事件にならないかと期待している僕がいた。現場から怒鳴り声が響く度に、殺人でも起きるんじゃないかとドキドキしている僕がいた。・・・すでに誰か死んでいるかも知れないのに。

二時間ほど経って、ようやく外は静かになった。時間は午前5時。夜明けが来る。空は晴れていた。けれど、僕は光を避けて、布団の中にもぐり込んだ。全てを忘れられる、この真っ暗な世界にいたかったから。

ゴミを漁るカラスが鳴いている。僕は存在すらない。どっちがマシだろう。

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